新都玖波 秋刀魚の巻

連句表紙頁

平成15.10.28〜12.15

秋刀魚の巻
吟人
1 発句 ひとり食う秋刀魚の腸のほろ苦く 涛青 秋 
2 深き夜更けにうれしや新酒 瑞菜
3 相伴 名月や小さき虫も影つけて 海市
4 第四 祇園あたりは棟の高なる 不易
5 下駄鳴らし風鈴下をねり歩き 山穂
6 折端 見栄の先見る千両の墓
初折裏
7 折立 夏木立揺らぎかぶさり守をせし
8   隣人来ぬ間に箸を転がす
9 遅々昔日思い流るる行く春の
10 花前 蝶の舞いたる浅き夢見し
11 邯鄲(かんたん)の枕の下の花盛り
12 折端 帯を叩いて春を駆け出す
名残表
13 七五三フリフリ衣装の曇り顔 
14 青田に低く小燕が風
15 新米の香りほのかに町の暮れ
16 秘伝の糀仕込む酒蔵
17 月影や杯事か笑み集い
18 折端 くこの実の赤我が想いなり
名残裏
19 折立 喜々として作りしジャムも捨て置かれ 
20 道草ばかりの大掃除かな
21 片隅に少し残せし去年の塵
22 花前 ふうわり溶ける残り雪蹴り
23 手をつなぐ花のトンネル頬染めて
24 挙句 胸の谷間にゆれる春の陽

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