連句表紙頁

自己解釈

評者 瑞菜

新巻は不肖、私瑞菜がそろそろ宗匠をとのこと、いたらないことも多々あるかと思いますが、勉強、経験と思い、お引き受けいたしま
す。
そこで、31日を待たずに、始めさせていただきたいと思います。発句は涛青様です。よろしくお願いいたします。瑞菜

1,では、お言葉ですので、発句参ります。
老いて一人住まいの寂しさを秋刀魚に託してみました。出だしに侘びを効かせたつもりです。
腸=ワタ、秋刀魚は旨いが、ワタは酒飲みとかが好む独特のほろ苦さがありま す。子供は手を出しません。今年秋刀魚が安い。たくさん食べた。

2,ひとりわびしく秋刀魚を食す・・・そのあとは新酒をゆっくり楽しむ。
誰に気兼ねするわけでもなく、秋を楽しむ。老人にはこういう楽しみもあるのです。

3,秋の夜更けに酒盗人? 煌々と照るお月様は小さな虫たちまで照らし、全て見守っています...
発句が秋なので、月を定座から引き上げた。

4.

5,京都の町屋辺りか。棟続く軒下の風鈴の音を聞きながら、下駄を鳴らして気持ちは祭りへと急ぐ。
月の定座だが、3句めに引き上げている。

6,下駄を鳴らして人の行く下町のここ深川は、紀ノ国屋文左衛門の墓がある。大向こうをうならせた見栄っ張りの文左も千両ぐらいは平気でかけられただろうにどうして、墓は質素でおとなしいものだ。意外としぶちんだたのか。宴会のご当地を詠んでみました。

7,青々とした木々がゆらゆらどっしりとあたりを見守っている夏の風景。

8,

9.

10、春爛漫のこの日に、ついうとうとしてしまったのか、若き日の君が蝶となって舞い戻る夢を見たよ。

11、夢とくれば枕? 唐代の小説、李泌作「枕中記」の廬生の夢物語を下に敷く。栄枯盛衰は一炊の夢。花の盛りにもはかなきを感づる様。いかがでせうか。由なにご差配のほど。
深川の初音は、よござんしたね。近場でリーズナブルで。一巻の途中でもいいから、もう一度ゆきたいです。

12、栄枯盛衰、はかなきは世の常なれど、気丈に今日を生きる花町女性の様

13、前句「駆け出す」から子供を連想。七五三、親にごてごての衣装を着せてもらい、うれしいのだかうれしくないのだかわからない神妙な顔の子供の姿を句にしました。

14、青々と伸びた田の上を低くすいすいと小さな燕が気持ちよさそうに飛んでいる。青田をそよがす風は、初夏の風か子ツバメのおこした風か。七五三を祝った子も自由に伸びやかに育ってほしいものだ。
季語=青田、ツバメの子、共に初夏。

15、初秋の夕暮れ時、新米を炊く甘い香りが街に流れる...ふと、田園で遊んだ故郷を想い出す。

16、今年採れたお米でつくるお酒はどんな味?
田園から町中へ移動した景色をさらに家の中に。新米を蒸す作業に忙しい夜の蔵元の景。明確な季語はありませんが、新米=新酒を仕込むに引かれて秋でお許しを。

17、秘伝の糀仕込みを終えて今年も素晴らしい新酒が出来た。月影は祝いの祭り、宴へと人々をやさしく導く路となる。

18、月〜秋〜赤で連想しました。燃えている心です(実際の自分は置いておいて)

19、こちらも実と赤からの連想で・・・。赤く燃えて、喜んで貰えると思ってつくってあげたジャムなのに、ほったらかされて、黴びが生えていそう。
ジャムは特定されてないので、季節はナシということで。食べ物が続くナー。
やはり忘年会が頭をよぎるのでしょうか?

20、暮れの大掃除、ジャムの瓶を見つけふと想いにふけってしまったり、一年終わりの片づけはなかなかはかどらないものです。

21、大掃除をすると、部屋の片隅から塵がでてくる、でてくる、思い出とともに・・

22、塵、ほこりのふわふわした感じは、残雪に繋がります。それを元気のよい子供たちが蹴っては遊びます。躍動感をあらわしました。

23、子供だって、桜の季節はうれしいものです。晴れやかにその中を通り抜けてゆく。

24、成長遂げた若い娘たちの、揺れる胸元に差す陽がまぶしい。生命の息吹を感じる春の日。