各(おのおの)がの巻

一座四人  

発句  秋 各(おのおの)が酒肴持ち寄る良夜かな 不易 脇句  秋 月の明かりが徳利を舞わす   浦霞 影左    第三  秋 浜菊や風透き通る隠岐の海   花見川涛青四   秋 秋の麗に監視も眠り         鞠子五   冬 目覚めればしんしんと雪山の朝     左六   冬 土間の手鍋の寒の煮凝り        易七   夏 夜濯の前掛け揺れて京の川       鞠八   雑 三日にあげず通う土手筋        青九   雑 深草の末を知らずや猪牙と駕籠     易十   春 娘(こ)らは微笑み雛流しする     左十一  春 行く春や瀞(とろ)む川面に花や花     青十二  春 永き日の書の栞とするかな       鞠十三  夏 読み疲れ蛍に灯を消す沢の宿      左十四  雑 昔話が残る本陣            易十五  秋 縁側に矢の跡も知り草紅葉       鞠十六  秋 秋空高く鴫渡り行く          青十七  秋 夕暮れて苫家差し入る小望月      易十八  雑 小箱を開けて墨擂る夜半        左十九  雑 携帯に踊る絵文字の午前二時      青二十  雑 また明日ねと星流れ落ち        鞠廿一  雑 願い込め機織るつうか孫娘       左廿二  春 朧夕べに帰る鶴群           易廿三  春 春暖と嘉儀に包まれ花と菓子      鞠廿四  春 ぬっと現わる蝦蟇の定九郎       青                             

解説がないのは、かえって想像力を刺激して、見る人、各人各様、解釈さまざま浮かび、一巻がふくらみをもちます。

表四句を庵の柱にかけおく。