連句表紙頁

自己解釈

評者 涛青

昨夜(九月一七日)、銀座「女の館ビル」梅の花にて、不易さんのご病気平癒を祈念しての乾杯で、筍の巻の批評・考察が行われ、その後に発句が発表され、あらたな巻が淡々と粛々と進められました。料理の進行に後押しされた感もありましたが、まずは快調な滑り出しでありました。
先の巻の成りゆきと宴席の手配にもお手を煩わせました海市宗匠に深く感謝申し上げます。

1、当初は、末五が散歩道であったが、改め、《道の角にきてふと見える萩が手招きをするように揺れているので、それに引かれてついお招きに預かってしまいましたよ》と人物の動作が見えるようになった。まずはなごやかな挨拶となった。路地の語は、今日不在の不易子を偲んでにやあらん気遣いも心憎い。萩は初秋で当季にあたる。

2.客を迎える亭主が《萩の手招きなんて嘘でしょう。届いたばかりの新酒の香りに引かれたのでしょう》と酒好きの客をからかう。そういえば、海市さんは最高級の大吟醸を飲んでいたような気がしたが。新酒は晩秋。

3.三句目振りとしては、「転調」、「長高く(たけたかく)」といわれる難しいところだが、意は《お酒もたっぷり、心も満ちたりて、今宵は満月を友として飲み明かそうか》。おおらかな句調である。「また」の語が深みを与える。転調としては、客と亭主のやりとりに引かれ、弱くもう少し離れ気味になる必要があるが、独立の句として見られる強さがあり山穂子久々の秀句であろう。発句が秋なので月の座をここに引き揚げた。

4.平句の始め四句目は、さらりと、軽く、付けるものとされている。意味は字句どおりで、誠に平易、さらりと置かれる。が、その世界は、ちょっと複雑で、様々な憶測を呼ぶ。「言葉軽かれど、その意深し」で、三句目の転調役を見事に補完、新たな展開に繋がる、骨太の一句。季は雑。

5.前句の中に、放浪の気配を感じ《人生は、コインの裏表のようなもので、いいか悪いかのどっち、誰にも分からない。そうだ、オーストラリアに行こう。》と若者の唐突さを写す。緻密な計画もいいけど、今の若者には、こうした気概がほしいとの思いも、作者にはあるのかも知れない。昨今の放浪はグローバルだから、西行さん、芭蕉さんはびっくりやろうね。

6.《これでよかったのだろうか。もっと他の人生もあったのでは...と迷う日々もある
が、我が子の微笑みはそんな迷いを吹き飛ばしてしまう》
意味からすると恋の呼び出しともとれますなー。次句は初折の裏入りで、恋がでてもおかしくない場ではあります。

7.あんなにかわいかった赤ちゃんも今や一丁前に彼女がいる。
 強いのなんのって・・・いつもどなられながらも後をついていく。

8.そこでおかっぱの勝ち気な娘は考えた。楽をするには床屋がいいと。髪結いの女房は左団扇とか。働き者の亭主に恵まれてのん気に日々暮らす.

9.床屋といえば蟹?水や潮が温んでくると水中の生物も活発になります。春ですねぇ。うららかな春の一日、海辺の町へお嫁入り。

10.んびりした憧れの田舎暮らし。
早朝の散歩は海岸あたりをぶらりぶらり...
どうやら今日はうららかな一日になりそう、しかし、種蒔きには最適の日のようでもある。
急に気がせいてきた...

11、さきのことをそんなに気にしてばかりしていてもしょうがない。盛りの時は今しかないのだから、ひと風吹けば、アッという間さ。花も人もね。さあ、楽しもう。

12、今が盛り、旬の踊り子。灼熱の太陽を浴びて舞い続ける。

13、地上は灼熱。一方、空を見上げていると、大きくて自分の悩み事などかき消してくれる。

14、すは討ち入り間近。少し希望が見えてきた。
焦りの即付け。遣り句でご無礼。お通しあれ。

15、夫は東京に単身赴任が決まった。寂しさや心もとなさに気も沈みがちだが、菊の香に励まされ、残り少ない時を楽しく大事に過ごそうと思う。

16、菊の香に埋もれて逝ってしまった。しっかりせねばと思うのだが、遺された身には、連れのいない秋はことさらに速く過ぎ去り辛く見える。

17、いい月ですが、風の気配は蕭々として侘びしき秋野の宵。瑞さま、海さまと内省的な句が続きましたので、少しおどけて。
蕉翁「むざんやな〜」一茶翁「やれ打つな〜」から昆虫モノで。

18、蟻も働き者ですが、我々人間だって。朝すれ違う人たちは忙しげに目的持って、ペダルを漕いで、勤務地(?)に向っている。その横をコスモスがそよそよ気持ちよさそう。

19、きらめき躍動感あふれる人も寒い冬は大の苦手。毎年湯を求めて(外へ行けない人は家の風呂?)逃げ込んでしまうが心は揺れる。 きらめきが揺らめきになってすみません。

20、冬ごもりするのは、やはり熊さん。穴から出て、するのは決まって腰を伸ばすこと。
不易さんもそろそろね。
虫の次は動物ですね。遣り句です。冬眠と限定されてないので、雑ですね。

21、伸びをしたら大抵は腹が減る。何か食べる者はないかな?天からの恵みを探してみますか。古来南の地方では作物のために天からの恵みを乞う時に祈る事を言うそうですが、それにひっかけました。

22、「天に道なき時は隠れ、道ある時は出て是に仕う」賢者の在り様なそうな。
天を仰いで騒乱の都を落胆し、平穏の世の到来を待ちつつ山家に引き籠もる体。

23、こもっているが、桜の美しさにふらふらと外に出たくなる、そんな美しい季節の到来です。

24、朝焼けに染まりはじめる空を切るように、南の国から早くも燕が飛来してきた。