自己解釈
評者 海市
一座の皆様
お待たせいたしました。それでは、新巻を始めさせていただきます。
皆様、そして師匠不易様どうぞよろしくお願い申し上げます。
発句は濤青様です。
本日は残暑厳しい一日となりましたが、秋をお願い致します。
1、では、神速ということなので、発句まいります。
今年はどうゆわけかやたら台風が来ますね。16号が行ったばかりなのに、もう次の18号が。気が気ではない夜を過ごしたが、庭には青柿がひとつ転がっているだけで、被害もなく台風一過の朝のほっとした気分。お歴々の前で主客となった身の不安と、ひとつできた安堵をだぶらせ、受けを狙った次第。芭蕉先生たちがよくつかう手ですね。いかがでしょうか。
短い句のなかに、味わいのある情景を詠むお手並みはお見事で、爪の垢をお送り頂き
たいと思うほどです。
2、これ以上の句が浮かびませぬ故、つづけさせていただきます。
前の句のリズムを壊してしまったような...いかがでしょうか?
落ちた柿を見つけた蟻たちが仲秋の名月を楽しむ暇もなく働いている...
蟻たちには豊穣の秋。
(注)発句が秋ゆえに、月の定座を引き上げた次第
3、宗匠様、三句目大変お待たせして申し訳ございませんでした。お師匠様からの宿題も○○坊主の有り様で、久しぶりの連句、語句がなかなか浮かばず苦労いたしました。どうかお許しくださいませ。言い訳はこのへんで...、はぁ、私、先が思いやられます。
働き者の蟻同様、名月を愛でる余裕もない日々。仕事が終われば家路に急ぎ、愛用の長椅子で読書家の真似事をして過ぎ行く秋を楽しんでみるしかない。秋の夜長に燈火で読書するという意味の漢詩「・・・・燈火親し」から引用させていただきました。いかがでしょうか。
山穂さま、ご無沙汰しておりますがお元気そうで何よりです。私の自分の事しか考えていなかった句は、付け難い句であったと反省しております。そのような句に山穂様はとても上手く付けてくださいました。ありがとうございました。
燈火親しむ...秋もいいですね。秋が恋しくなってきました。
さて、私の句ですが、不易様より「蟻は夏の季語」とのご指摘を頂戴し、かつ添削して頂きました。すみませんが、ここに脇句を差し替えさせていただきます。不易様、ご指導ありがとうございました。
山穂さま ご無沙汰致しおります。お元気そうで安堵しました。夏休みは
いかがお過ごしでしたか。それにしても、いつまでも暑いことですね。まだ
まだ残暑は厳しいようです。引き続き体調を崩さぬようお気をつけられます
ように。
三句いただきました。唐の韓愈の一節ですね。「符読書城南詩 灯火稍可親」詩ヲ書シ城南ニ符ヲ読ム 灯火ヨウヨウ親シム可シ とでも読むのでせうか。"秋の夜長は読書にピッタシ"という定説の元になった一遍ですね。韓愈は、「唐・宋八家」の一人として詩人・文章家のベストエイトにランキング入りしている人で、孟子の崇拝者だったと聞き及んでおります。二句、三句と秋の風情が唐詩のような展開でなかなかではありませんか。不易
4、「四句目ぶりは、仔細に拘わらず早く、速やかに」と申しますれば、さっそくに四句目を次がさせていただきまする。
静かな静かな里の秋。ふと読み直してみる若き日の愛読書。読み直す著作の内容よりも、これを夢中に読んでいた頃の幼い自分が愛しく思える述懐の秋。
三句の屋外から、四句の室内へ。さらに手元の書籍へとズームイン。いかがでしょうか。古本は何でもよかったのですが、漢籍では流れがくどくなるかと洋物にしたまでです。因みに迂生、ジャン・コクトーは一冊も読んだことがありません。あしからず。
不易様の句、いただきました。秋の静かな時間が流れて行くようです。
5、こんにちは。長いご無沙汰でございますが、皆様お元気のことと存じます。私も何とか元気にやっております。オリンピックも遠いことのように思えます。でも、不易様の、マラソン進入男についての解説は今でも笑えます。
さて、第五句お送りします。厳しいご指導よろしくお願いいたします。
コクトーといえば、南仏というイメージ。ヴィルフランシュルメールにある、コクトーが手がけた教会は壁一面に自由自在のカラフルな絵が・・・漁師が槍に魚でキリストなんだそうです。
お待たせしてすみません。第五句、いただきました。
秋の静かな情景から、陽光の眩しい明るい南仏へと爽やかに移して頂きました。
次は山穂様です。お待たせしました、よろしくお願い致します。
月の定座だが、脇句に引き上げたのでここははずす。
6、南欧の夏は風も時間もかろやか。そこかしこにアニス等のリキュールの香りが漂う。
午後の暑い陽射しもお楽しみです。だって、キンキンに冷やしたお酒を美味しく味わえるのだから。
山穂さんの句は頂きました。
瑞菜さんにつづき、洒落た伸び伸びとした句で感心しました。
7、さて、裏に入ります。
裏は、「破」多少の興を起こしておもしろく。
皆様よろしくお願いいたします。
鮮やかな夏の日も去り、秋風が人影のない浜を通り抜ける。楽しく遊び暮らした日々が空しく思い出される...
8、解釈は、依然と同じでありんす、とほほ。。。
秋を入れての句、ありがとうございました。八句目いただきました。はつらつと、そして大らかなとても美しい句ですね。「君と駈けたり」を受けて夕焼けが一層鮮やかに映えるようです。
次は不易様です。秋をもう一句お願いいたします。
9、君を失ってから速ひととせ。思いは一層つのるが、時の流れには抗し得ない。「去る者日々に疎し」は世の習いなれど哀しき。朝顔の藍の深淵に君の面影も沈んでゆく。「夕」焼けに対して「朝」顔。「明くる」で時間の経緯を。なんちゃって、こじつけてみました。宗匠の「うたかたや〜」にこだわると、少々、打越ぎみではありますが、次は濤師ですので少し甘えて、花前の前で季移りと沈んだ気分を一新される句など所望いたしたく。ご無礼の段平に由なに。
10、朝顔と喪で、利休と秀吉の故事を思いうかべ、紫に黄金を配して、秀吉の辞世の歌で、争いも生きていればこその思いを託した次第。
黄金の茶室の秀吉も朝顔の利休も、意地を張り合って生きたが、死すればそれも等しくいまはゆめの中。理に落ちた駄作ですな。
秀吉辞世の歌「露とおち 露と消えにし わが身かな 難波のことも 夢のまた夢」
ご承知のように、朝顔の逸話は、はかなりきなくさい。北野大茶会で黄金の茶室をつくった邪気旺盛の秀吉は性向からして素直にたくさんの朝顔を愛でたかった。してやられたと、内心激怒し、しかし、体面を保つために「みごと」と言わざるをえなかった、のではないか。
利休・秀吉の葛藤は、覇権争いの様相をていしてきて、利休の死罪をもって終わる、その伏線として一輪の朝顔は象徴的である。
不易様、濤青様と深味のある句をありがとうございました。
そして黄金、夢と華やかな花が出てきそうな花前になりました。
山穂様、大変お待たせしました。
花の句をお願いいたします。
(解釈 後略)