連句表紙頁

自己解釈

「虫の音の巻」

1 虫の音に暑き夏が過ぎたのを知る。もう前のように若くない身にはこれからが旅の季節。初めてのインターネット上の句を意識して少し軽い発句にしました。(麗枝)
2 秋の発句なので、一気に月を呼び込んでしまった。出しゃばったところはご容赦。月もおとなしくしているのに出かけるおつもりかの意。恋ではないので念のため。(涛青)
3 初秋から晩秋へ。道長の絶頂の月と珠光の侘びの月を対比。驕れる者の儚さと、バブル後の本朝の行方をも暗示させる警句。(不易)
4 やっぱり「農」が基本だな。あぜみち、ゆげ、わらのにおい。デビュー戦でガチガチになっちゃいました。(不知)
5 そんなはずはないんだけれど、ふる里というものは遠く離れているとどうしても美しく思いたくなるもんでしょう。モネには麦藁積みの絵がありましたね。(涛青)
6 流石、欧州の文化は懐が深い。美術館でも豪華画集でもない、窮して開けた蓋の裏にモネが写されていたとは。パリの安下宿の体。(不易)
7 蓋の裏に書かれていたのは産直の連絡先か。雪解けの里 に春の便りが届く。(海市)
8 山々を駆け巡り、里に下りてきた生命の息吹を告げる春の「便り」。初めての春を待ちきれない若き猫はけもの道で遭遇してしまいます。そこで切ない恋を知ってしまうのです...。皆さんの後をついて行く所存でおりますので、ご指導よろしくお願い申し上げます。(山穂)
9 桜の花の風にそよぐは霞の漂うごとく。あの人を想う気持ちを告げようか告げまいか。おもい千々に乱れて。----力不足を痛感。師の教えによりようよう詠める一首。修行中の身なればご勘弁。(不知)
10 花に酒に酔うほどに、皆の声も遠くなり、ひとり宴をぬけいで、花の中を、夢の中を彷徨う。(海市)
11 厄をやり過ごす為にじっと家に籠る。世の中を見るのも格子越し。集まりがあつても早々に切り上げる小心者を詠う。彼が覗いている「格子」は、もちろん前句を受けた「千鳥格子」。(不易)
12 本厄だとかいってあの人はこない。ひがなじっと格子から覗いているわたしは冬ごもりしている虫のよう。日も落ち灯をともしてもすることがない。いればあの人のささくれた爪を切ってあげるものを。ひとり静かに爪を切る音がするだけ。恋の呼び出し(涛青)
13 シャイだったために上手にいかず好きな人も去って行ってしまった。あとには彼女の好きなテキーラのグラスが残る。口紅のついたグラスを見つめ男はさびしく爪を切る。恋の句(山穂)
14 路地裏のお酉さんの熊手が煤けているような裏寂たバーでのお話。(不易)
15 夏の路地は暗くなっても子供たちが遊ぶ声がする。幼きわが子をおとぎ話で寝かしつけているとかすかに聞こえたのは虫の音かしら。もう秋がそこに。(海市)
16 おとぎ話で寝入った子がニッコリ笑う。夢でいま出ているお月さまでうさぎと遊んでいるのかしら。(山穂)
17 放蕩息子が女を身受けする元手をかせぐに花札賭博をする情景。月の役札がめぐって来てほくそ笑んだところに菊の短冊も。(涛青)
18 悪銭身につかず。ほうほうの体で田圃道を逃げまどうはめに。(海市)
19 別にありません。(不易)
この句は、意味はなくただ若沖の軸という語のみで、前句とつながっている。蛙を描いた絵が若沖にはあるということ。かなり苦しい付け。
20 没落したのか、はたまた何か事情があったのであろう。住み慣れた都をしのび、後ろ髪を引かれるように振り返りながら、江戸へ向かう旅人が、川のほとりにさしかかる。瀬音も人生を写すかのように水底に深く沈むようだ。背中の荷には唯一の財産の若沖の軸が1本あるだけ。
21 上京して都会の暮らしにも馴れてきた、周囲を見る目にも余裕がでてきた。一日を了えての帰り道、ふと見上げる都会の空。朧な月に故里の母の暖かなおもざしが重なる。(山穂)
22 そろそろホームシックになる頃の都会の片隅。朧な夜景に古里の山焼きの煙が甦る。もっとも「三筋」は焼き鳥やの煙とも。花を呼び出す心遣いを重点に付けました。(不易)
23 山の背に添う道を行く人は誰。行く人の哀しみと不安。見送る人の恨みと期待。こもごもの想いを落花が覆う。旅立つ人の姿も想いも花のなかに消えて行く。(海市)
24 巨大なマウンドを作るはさぞかし名のあるもぐらさん。
これにて一巻の終わり。