連句表紙頁

自己解釈

捌き 花見川涛青


昨晩はご手配などお世話になりました。
はしごをするのは久しぶりです。
結構飲んでしまったようです。
今日はなぜか首が痛くて、回りません。
痛風が首に出たのかしら・・・。
うろ覚えの記憶の断片をつぎはぎすると、
どうも、今巻の捌きは私のようであります。
皆さんお力添えでなんとか山穂さんが参加できないというこの難局を乗り切っていきたいと思います。

1、八百屋やデパートの食品売り場で、国産を押しのけて中国産、カナダ産の松茸が幅を利かせています。
 とは言っても、国産は飾り棚の上の方に高慢な面構えを見せて値札には5万円とか6万円とか書かれています。
書き間違いじゃないかと思うんですけれど。
「君を食してあげたいのだけれど、ここんところ、ちいっと歯が悪くてね。なんと言っても香りと独特の歯触りがとりえの君ですから、今日のところは遠慮して、歯に優しいうどんにしておこう」
 「加齢」と「言い訳」は比例して増えて行きますね。
老人は、ひとりごちてうどん屋ののれんをくぐります。
秋風が歯に沁みます。

矢継ぎ早の発句、いただきます。
首が痛いのは菌のせいかな・・・・。
松茸に語りかける姿勢がかわゆく見えます。

2,歯が悪いんじゃ仕方ござんせん。では、せめてもの事に香りだけでもご馳走いたしましょう。ということで、土瓶蒸しにいたしました。
三句目では、ぜひに月を所望致します。不易さまよろしくお願いいたします。

3,ご相伴。よろしくお願い致します。
名月の後の十三夜(後の月)。晩秋の空気はひとしほ肌寒くなり景色もものさびしさを増す。旬を過ぎた小さな松茸がひとつ。せめて香りなと楽しもう。身の黄昏に重ね合わせてしみじみ啜る。胃の腑にひろがる月と汁。ほっと一息、小さな安堵と小さな暖かさ。
松茸から離れて人生の行く末を見通す大らかな月へと転じていただきました。
三句目振りのお手本のような出来で感服いたしました。
発句が秋で始まりましたので、三句のうちに月を詠んでいただきました。
四句目は、平句のはじまりです。ゆったりとお読み願います。影左さまよろし く願います。

4, 月と温泉。歳とるとやっぱり、温泉ですね。人生行路の停車駅で温泉に浸かれば、十三夜の月が心身を暖めてくれます。
 お月様が、人に慈愛の光を当ててくれるとすれば、死に場所を探して彷徨いよろける昆虫にも、小春の陽の光がじんわり降り注いでくれます。
 天に感謝を忘れまじ、というところで、お取り上げのほどよろしくお願い申します。
のどかな小春日和に、死の影が捉えられていて、ドキリとする尖った感覚です。
行く末は、やはり案じられますなー。季節は冬になりました。
温泉場でトカゲに石をぶつけて殺すのは、志賀直哉でしたっけ。
温泉と小さな生き物の死とは結び付くのでしょうか、殺生石というのもあった し・・・。

5,小春日和から一天にわかにかき曇り、雪が降ってきました。
時雨から本降りになりそうです。黒いカラスも白にかき消されてしまいそうです。
長い冬の到来です。
木守柿を頼りのカラスにも厳しい現実が待っています。
冬の季語が二つも入ってます。
では、不易さま、よろしく願います。

6,
蕉翁のような枯淡と、蕪村翁のような絵画的で秀逸な前句に二の句が継げず困りました。
もっぱら季移りと状況転換での遣り句でご勘弁のほど願いあげます。
山っ気がつづきましたので、海辺の景へ移してみましたがいかがでしょうか。
迅速なる付け、痛み入ります。
少々重い展開から、パット開けた海へ、裏入りで軽快な助走がつきました。
では、影左さま裏入りへお願い致します。

7, 滔々と暮れゆくは、太平洋の広がりでしょうか?
やがて一夜が明けると、東の海から太陽が昇る真夏の朝に、相馬周辺の様々な地区からは、待ちに待った野馬追祭の騎馬武者行列が会場に集結します。
 続々と続く背中に旗竿を背負った騎馬が海から湧きだしてきたのではないかと、見とれているうちに数を増やし、甲冑競馬や神旗争奪戦が東北の真夏の暑さを吹き飛ばすように華々しく演じられます。
 東北の盛夏を彩る相馬野馬追祭は、日本の風土には珍しくダイナミックな祭りです。
相馬はまだ見物していませんが、あれだけの馬が走るのは誠に希有な祭りですね。
海賊から馬賊に変身の体で勇壮な気運が籠もります。

8,勇壮な野馬追いの疾走感から転じて、大地に目を向けて、小さなものに思いを寄せます。
騎馬に踏みにじられても、へこたれない強さが、今の日本人には必要なんじゃーないでしょうか。

9,上州、信州と、連休を頂いて遊び惚けておりまして、遅くなりましたスミマセン。
花前です。よろしくお願い致します。
新規巻きなおし、仮住まいからの再スタート。いったい何があったのでしょう。
十句目、花の座です。影左さまよろしくお願いします。

10, 仮住まい人間は春雨に引き止められて仮住まいを出るに出られない憂き目を見ている模様ですが、ひとしきり降り終われば、春のうららの晴天が入れ替わりに訪れます。
 のどかな日和に、川面が光、桜の花びら一つ一つが光って競い咲くと、土手で花見にうつつを抜かすママのかたわらから、浮かれ赤ちゃんが風に舞う花びらを追いかけ這い回る。
 ・・・すべて、世はこともなしの春の情景句です。
春雨を集めてたゆたう流れに転じて花見の景を上手に展開していただきました。
短句での花の座を仕上げる力わざを見せていただきました。

11、土手は、何故か富士川に。赤子から捨て子の話に暗転。
でも暗い話ではありません。
ご存知芭蕉の『野ざらし紀行』にある話をネタにしただけです。
富士川に差し掛かった時、捨て子を見て、助けもせず、食べ物を与えただけで、
猿を聞人捨子に秋の風いかに(さるをきくひと すてごにあきの かぜいかに)
と句を作った。との記述に、後世の解釈では、話をふくらますための芭蕉の作 り話だろう、とされています。
なれば、捨て子地蔵なんてのも、あるのでは、というのが筆者の想像です。理に落ちた句ではあります。
では、お次は、折端、不易さまお願い致します。

12、賽の河原で鬼に追われる子供たちを、お地蔵さまはその衣の下に隠してくれると云います。無明、薄明の河原では衣も湿りがち、たまの晴れ間に衣を干す所帯じみた下帯一丁の地蔵菩薩。
釈教離れと季移りでご無礼申し上げます。
九句目から、水物で濡れそぼっておりましたところ、ようやくの晴れ間で乾きそうです。
名残へと転調して入ります。
影左さまよろしく続けて下さいますように。

13、 衣を広げるなら、さあ思い切り良く生きる一生を賭けた華やかな羽根を広げてみましょう。
 キアゲハの見事な羽根模様、ズームインして華麗なデザインに驚きの一句です。
衣ひろげる、黄揚羽蝶、その模様へ、次第にクローズアップ現代、と接眼レンズの世界へと誘われます。
視点の変化が、動的で、誠に結構です。

14、蝶が大挙して海を渡るという話を読んだことがあります。
海を渡れば、そこはアフリカ、アラブ、アラベスク。
幾何学模様が生き物のように張り巡らされて、男は絡めとられます。妖しの美女に。
十五句目、不易さまよしなに。

15、遅滞つかまつりまして、ご無礼の段お許しください。取り急ぎ継がさせて頂きます。由なに。
今年最初の酒はアラベスクの様なめくるめく新走り。千一夜飲んでも飽き(秋)の来ないよい出来で。飲むほどにアラビアタイルの蔦模様。(酒が悪いのではありません、酒癖が悪いのでは)
語呂合わせと意味付けで、月へ向って季移りで。「海峡を越え」がくっ付きませんでスミマセン。お目こぼしの程、願いあげまする。
15句いただきました。忘年会が続いた状態のご様子ですね。
影左さま、月前(そういう言葉があるのかどうか?)です。よろしくお願いいたします。

16、 年末に近づきまして、宗匠さま不易さま両師匠には悪性の風邪を召され、当方は、通風に痛めつけられました。来年は、元気に過ごせる2008年を迎えたいものです。
 連句も一気に進めねばと思いつつも、26,27日と山形に神代杉を撮影するためのロケハンに出掛け、秋田側にも出て象潟あたりからも鳥海山の麓をぐるりと巡って、昨夜遅くに帰郷致しました。
 地元の銘木店に教えてもらった話しですと、2,600年前に鳥海山が噴火して埋もれ木になった杉を掘り起こすと数十万から数百万円の商品になるということです。
 幹の直径3〜4m級の状態の良い杉の埋もれ木を掘り当てれば数千万から時には一億円を越える出物があったそうです。
それでは、急いで十六句まいります。
 新走り・・・いいですねぇ、旨いですねぇ、元気が出ますねぇ。なんて宣っているうちに蔦葛状態。年末によく見かける光景ですね。いろんなものがからんできますね。
 そう言えば、自然薯を探す時には、山の中で木にからんでいる蔦を頼りに在処を探り当てるのがコツと申します。
 山のお宝自然薯堀りに夢中になり、新走りも体中にからまっていますから分け入った山中で迷い疲れて、夢の中。どんなものが掘り出されて来るのやら?
 講評会は、相当スピードアップしても年内は開催困難か?と言ったところでしょうが、可能な限りアップをめざすためにも速やかにお通し下さるよう、宗匠さま、よろしくお取り計らいを。 

では、急いで十六句、受けさせていただきます。
師走もどん詰まり二十八日、お勤めも今日が納めのところが多いと聞きます。
この巻きも、今期はここでひとまず納めとして、新春を期して再開といたしましょう。
講評会は、巻了後、およびPod完成お披露目後の吉日といたしましょう。
皆さま、どうかよいお年をお迎えになりますように

17、謹賀新年申し上げます。
一座の皆様におかれましては、新しい年を飛躍の年と捕らえられていらっしゃ ることと思います。
どうぞ勢いのある鼠年になりますように祈念致しております。
では、松茸の巻きの続きを

おせんべいと思へば、子供心では、大きい方がいいでしょうね。夢は食べ物の連鎖となります。
では、不易さま よろしく願います。

18、自然薯を繋ぎに使ったお饅頭もふっくらと蒸しあがる。庭の甘柿も熟れてふっくらと丸みを増す。
「ちゃん あのお月さんと同じで皆んなそろそろ食べ頃だね」一丁前の口を利くようになった子供を見ると去年は長かった着物の丈がもう短い。ふっくらとした可愛い脛をのぞかせている。

   名月のまにあわせたき芋畑 はせを

「満月」「食べ頃」から食材の時の経過を思いましたが自然薯が出ているので、食物で繋ぐのは煩わしいかと、子供の方に視点を置いてみましたがいかがでしょうか?
今年もよろしくお願い申し上げます。  易 平伏
気の弱り、はいけませんですな。空元気も困りものですが。とにもかくにも流れに乗らずばならぬのがジンセイかも。
折端いただきました。
食の連鎖への気配り、季移りの配慮、の上に子の成長を願う親心を詠んでいただきました。
では、最終折立、影左さまよろしくお願い致します。

19、 そうそう、そうです。童は放っておいても、気づけば衣装もデザインも体に合わなく成長してしまっています。
 光陰矢のごとし。成人式に着飾る若者の姿には、親も本人も驚き、よろこぶ人生の節目になります。とりわけ娘たちの変身ぶりは信じられないほどお見事です。
 つい昨日までは、アヒルの子と見ていたガーガーとうるさいだけの我が娘も、その友達も、晴れ着でそろって成人式に出かける姿には驚かされます。
 景気付けの元気ネタです。宗匠さまどうぞよろしく。影左  拝
十六句に十の字があります、ここで二十が出て、次は三十でしょうか。

20、どうもこの頃の寒さの故か、エンジンがかかるのに時間がか かってしまいます。20句参ります。
二十歳の初初さの前句を受けまして、幻滅の年代へ。この国は、老人に冷たい国になってしまったのか。はたまた、老人を食い物にする手合いまで増殖中。身につまされて暗澹たる思いです。暴走しちゃうぞー、という気分です。
では、不易先生よろしく願います。
クレイアニメ見たいです。

21、はたまた本日は、影左さまがお仕事の途中でわざわざお立ち寄り頂き、昼食をご一緒させて頂きながら山形は鶴岡の珍しい杉材のお話、迂生の好きな埋蔵金探しのような材木探しのお話をお聞きしました。正月早々景気のよいお話で楽しく拝聴致しました。慶賀。
遠く過ぎ行く青春の日々、こもごもの来し方。晩春の梵鐘の音の憂愁。老いの述懐。いかがでしょうか。
粘土細工、苦戦しております。影左さまにもアドバイス頂きました。何とか早急に形にいたします、もう少しお待ちくだされますよう。(と、いってもこの後、影左さまに多大なご迷惑をおかけする事になると思いますが。)        易恐縮
結構な21句、頂戴致します。
静かな達観の境地にも不穏な空気が窺えます。
季節は、春に変えていただいたので、これから花へと傾斜していきます。
では、影左さま花前よろしく願います。
不易さまは、挙句にそして粘土細工にご専念なされますように。

22、再廿二句参ります。
 暖かみのある春霞の空気をどこやらか遠くの寺から
伝わって来る鐘の音。
 その響きを茶席の用意が整った銅鑼の合図と聞き違えたのか、待合いの軒先あたりに一羽の頬白がキョロキョロとおとぼけ顔でやって来た春の昼下がり。
いかがでございましょうか、宗匠さま。
影左さまお手をおかけして恐縮です。
花前頂戴致します。
人生しみじみの前句から、茶席の渋みへと移ろいました。
遠くの音と近景の鳥の対比もくっきりと見えてきます。誠に結構です。


23、恋の句が出てないようですので、待合いを恋の呼び出しと受けて、花の句にまいります。
そぞろ歩きにふとした拍子に触れあう指に胸がときめく・・・
昨今の若い人たちにはこうした感動はあるんだろうか?
お待たせ致しました不易さま、挙句をお願いいたします。

24、遅ればせながら、お送り申し上げます。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
春になりませんでしたが、花に引かれて春という事で恋を優先しましたがいかがでしょうか?まだ調子がよくありませんようで、ご勘弁の程を願い上げます。Podの方も同様、今しばらくご猶予のほどを。申し訳ありません。
とりあえず易平伏

これにてこの巻きは完了ということになります。
年末年始を挟んでというのは、落ち着きが無くなる気味がございます。皆様ご苦労様でした。