連句表紙頁

自己解釈

捌き 月夜野山穂


1,あらためまして、今巻の宗匠を務めさせていただきます。皆さま、お手柔らかに最後
までどうぞよろしくお願い申し上げます。

不易さまには、素晴らしい発句を講評会にていただきました。祭といえば葵祭。祭を迎える直前の緊張や喜びが語句のなかから様々な情景を生み出しながら伝わってきます。大らかで美しい句をいただきましてありがとうございました。
お待たせいたしました。脇句をつがせていただきます。

2,軒先に提灯を下げ、祭の為の単衣を装い、とっておきの夏帯を締めてお客さまの到着をお迎えする準備が整いました。町の至る処にで祭を祝う提灯が初夏の風に揺れています。

素晴らしい脇をお付け頂き恐縮です。「待ちわぶ」に「迎え」、「添える」でなにやら、いそいそと愛しい人を迎える仕度の風情。早くも恋の呼び出しのようでもあります。恋を仕掛けられた濤青さまのご相伴、いいがなりましょうや。易深々注目。

さて、先達ても話題にのぼりました銀行(?)遊山の事ですが、早速に試案を作ってみました。企画案として添付致しましたのでご覧ください。
今件の実施時期は7月7日(土)七夕・小暑を念頭に組んでみました。 かしこ 易低頭

前の宗匠さま
恋を仕掛けるのは得意なのですが、仕掛けられるとなると、たじたじとなって・・・
苦吟いたしおります。
銀行案なかなか魅力的でございますね。
飲んで食べて飲んで食べての繰り返しが期待できそうでワクワクします。
ぜひ実現させたいですね。 青 拝

 鹿島詣の誠にけっこうな吟行プランを組立てて頂き感謝致します。
 7月7日は、吟行日として空けておきます。
後は、好天をを祈ります。−−−暑くもなく、寒くもなく、大雨や雷雨にならないようにーーー。
 吟行のいでたちもどうするか?まあ、結局、いつもの無粋な風体で参加させていただくことにはなりそうです。影左 拝

3,遅くなりました。第三句でございます。
完璧に恋の呼び出しの前句にせっつかれた格好で、おずおずと出て参りました。
出だしの3句にあからさまな恋はいかがかと愚考してどうとでも言い抜けが出来ますように塩梅したつもりです。
かくかくしかじかの寮の玄関先。可憐さについ手折ったアケビだが、なかなかどうして、爆ぜると艶のある重量感を漂わせます。人の世でも同様なことが予感されるようなことがあるような気がしますです。
第三句をありがとうございました。いただきました。
過激な?二句目に対してさらりと、しっかりと丈高く転じていただきました。さすがでございます。
下五句の「ふてぶてし」という語句が強烈な印象を与えています。世の中を鋭く風刺する、涛青さまならではの相伴の句、お見事でございました。

それではお待たせいたしました。影左さま、四句目をお願い申し上げます。

不易さま、吟行のご提案ありがとうございました。楽しみでございますね。さてさて、
どうなりますか。

4, 雅やかな発句、粋な脇句を受け、相伴は大人の恋の色濃い風情と新巻は、順風満帆に滑り出しました模様ですので、滞り無く四句続けます。
 山林の高い木立からアケビの蔓と爆ぜた実が、山男のたくましい腕に手折られた後、秋風が空に吹き抜けていきます。
 アケビの運命を思いやりつつ、山路を行くと、おう!あの木の枝先にも別のアケビが青紫にうれて今まさに弾けんとしているではないか。
 蔓をたぐり寄せてみると、アケビはフワリと秋風に舞い上がって手元に降りてきた。
 なーんだ青紫に熟れたアケビかと思いきや、青いカケスの羽ではないか。
 物忘れの激しさがお得意なカケスは自分の青い羽根まで置き忘れちまって・・・。
青い青春時代を忘れてしまった山爺が、出くわした山路での幻覚のひと時。
それにしても、カケスの青い羽根の色はきれいです。
相国寺の若冲展の最終日に90分も並んで観た寺宝「動植綵絵」の中にあの青い羽根のカケスに似た小鳥が混ざっていたような気がするなぁ〜。
暑い日が続きます。なにとぞ、お通しのほどよろしく請い願い申します。
影左さま、長らくお待たせいたしまして誠に申し訳ございませんでした。美しい四句、いただきます。
影左さま独特の映像の美の世界で全く新しい世界へと展開していただきました。
「カケス」という語句が妙に耳に引きつけられて、心の奥底に入り込んで行く気がします。
若冲の絵画を直に見た事が未だ無いのですが、その鮮やかで美しい「青」が影左さまの美しい句から想像できます。

5,では、「鹿島吟行」に向けてはずみを着けて、第五句参ります。
「無理難題を押しつけて五人とも退けたけど、カケスの青い羽だったらちょっと気になるワ、わたし。手に入ったとしても珠よりも、やはり竹取の翁に勝るものはありません。もう月に帰らねば よよよ・・・」
翁草は春の草花とされるが、菊を指すこともある。ここは当然菊ですね。よろしくお通しのほどを

芭蕉さんの「鹿島紀行」では、途中から夜、舟に乗って鹿島に着いてますね。
我らも乗り物を利用する訳ですが、記述にはありませなんだように見受けられますが、
ご一行は船中では当然聞こし召したのでしょうな。

前句に続き、美しく印象強い語句が引き立ちます。幻想的な絵画を連想させ、伝説の物語の世界にかけて、とてもユニークな展開にお運びいただきました。これもまた、
「うーん、そういきますか」と唸らせる、涛青さまの独特な世界でございますね。

それでは初折の折端でございます。不易さま、六句目をお願い申し上げます。

土曜日の晴れ乞い、しっかりとやっておきます。童心にかえって、てる坊主など作って楽しみにしております。

6,ここへ来て、なにやら急に梅雨らしくなってしまいましたが、土曜日の晴れ乞い、よろしくお願い致します。週末予報では今のところ霞ヶ浦近辺は曇りとの事です。
雨を祓う勢いで六句続けさせていただきます。名品、珍宝よりも親の慈しみに感謝するかぐや姫。子の幸せを願いつつ掌中の珠を手放す翁の悲しみ。昨今の親子、家族の荒んだ風潮に一石を投じ、冴え冴えとした月光を浴びての別れの一場が美しく印象的です。 易感服
その前句に、はなはだご無礼とは存じましたが、坊主札に菊の役札。これはもう月見て一杯にございます。玉姫を取り出した後の竹の大筒。竹取の翁は記念にこれを酒筒に作りなして愛用していたと聞き及びます。竹取の翁は生業の竹採り作業を終わらせると、決まってこの筒を提げて酒屋に駆けていったそうな。(竹取物語異聞)易御無礼

7,竹採りをおえて酒を買いに来たが、途中、獅子の猟師に出くわした。獅子鍋の誘惑に負けて誘われるままに鍋屋へ。ちょっと一杯のつもりで呑んで、〜何とかではしご酒。・・・毎度の事です。困った時の酒つながりでどうかお許しくださいませ。

8,鉄砲と来れば、若かりし頃に見た西部劇。シェーンですな。やっぱ。主題曲もよかったし、ジェーン・アリソン(不確か?)の揺れる心根の儚さ。 少年の一途さ。殺し屋ウイルソンのジャック・パランスの個性味。夜の空の青かったこと(昼間の撮影)・・。今や遠い思い出の彼方です。
遙かなる山の、呼び声遠し。の字余り短句です(為念)
雄大な山々の美しい情景が広がり、新たな展開へとお運びいただきました。余談ですが私も女性のわりには?西部劇が大好きで、テレビですが随分と見た記憶がございます。シェーンはやはり印象が強く残っています。他の作品に比べて空や山や映像の色が濃かったような気がします。

9,颱風襲来の前に、急いで九句まいります。
 西部の荒野に、「シェーン,カムバック!」のエコーがいつまでも広がるような広大な八句。
 久々に、せせこましい都会生活での縮こまった日常を解放してくれる響きに接して感謝です。
 さて、こちらも大自然に身を任せての渓流釣り。山の呼び声もエコーしつつ、すぐ近くまで届いている筈ですが、淵に落ち込む水音にかき消され、釣り人は、投げ込んだ針が泡に洗われている様子にジッと見入っていると、山の時間は流れているのか止まっているのか定かでなくなり、泡だけが、時の経過を教えています。洋画の名画から水墨画風にしたためてみましたが、いかがでしょうか?
「針呑む」「淵の泡」という語句がとても新鮮な響きです。針先が水面に呑まれ泡が広がる情景が浮かび、静かな静かな音が聞こえてきます。とても美しい句だと思います。影左さまの仰るように、静寂な美しさを醸し出す水墨画の世界へと引き込まれてしまいました。

10,山間の渓流から琵琶湖の春景色へ。ウグイは魚偏に成ると書きますが、活字が見当たらないので片仮名にしました。別名、桜ウグイとも云われ春になると腹部に婚姻色の赤い帯が顕われます。ウグイには季語がありませんが、産卵期のものは春季で扱うようです。
山の景が続きましたので、海まで出ようと思ったのですが、極端な転換は花前ですので控えました。まずは深山から湖岸の里の情景へと下ったまでに致しました。いかがでしょうか。
美しい春の情景の句に仕立てていただきました。場面の変化も起こしていただき、お心遣いに感謝を申し上げます。 「ウグイ」を片仮名にしていただいた事で、句全体に躍動感が溢れ、色鮮やかに情景が広がり、湖の印象もさらに強く感じられます。素晴らしい花前の句をいただきましてありがとうございました。

11,
 水の温んだ琵琶湖畔でウグイのお腹に赤帯を見つけた春の到来。誰もが旅先で、この時節のウグイを「桜ウグイ」との別名で呼ぶと聞きおよべば、ふるさとの桜の風情を思い起こすことでしょう。
蕉翁も、貞享5年、春の帰省中、侍大将藤堂新七郎家の下屋敷での花見の宴に招かれーーーーー、
「さまさまの事をおもひ出す桜かな」の句を詠んでいるそうな。
以来、「様々園」と呼ばれる名所なったらしいです。翁ならずとも、桜の木の下では、杖を置いて、しばし各々の人生の旅の来し方を振り返ったりするものです。
様々な花の美しさに招かれる。素敵ですね。
「招き」という語句がとても新鮮で、耳の奥底に何ともあたたかくやはらかな響きが広がります。
「さあ、杖は置いて、私と手をつないでまいりましょう」・・・。どこからかやさしい声が聞こえてきそうです。やさしい影左さまの世界、素晴らしい花の句をいただきましてありがとうございました。

12,続けて十二句を次がせていただきました。
溢れる美しい花の周りには自然と人が集まって宴となります。老若男女、皆、やさしい心になり、皆、手を取り合って春の喜びを踊って祝うのです。
それでは不易さま、再びご登場願います。名残の表に入りました。十三句目、アッと驚く変化に満ちた句を期待しております。よろしくお願い申し上げます。

13,振鉾(えんぶ)は振舞とも云われ、舞楽の初めに奏するもので、悪魔調伏と災いを消す姿として二人で舞われる厄祓えの楽ですが、特に意味を持たせたものではありません。宗匠さまのワルツ(円舞)に語呂合わせしただけのものです、スミマセン。また、雅楽寮の内にこのような式部があったのか否か知りません。迂生がかってに作り出した式部職名です。あしからずお許しのほどを。とりあえず、「春宵一刻価千金」内裏での春の宴の一場です。(多分)  易恐惶謹言
名残の表に入りました。鮮やかな春の情景に、さらに彩りと格式高い語句で品格を加えていただきました。また、変化を起こして一巻に弾みをつけていただきました。私としましては、恥ずかしながら振鉾職というものを知りませんでしたので、またひとつ、勉強をさせていただきました。

14,舞楽のルーツは、遠く中央アジアが起源だと言われています。遙か西域に想いを馳せます。婉然と微笑み踊る碧眼の美女の豊満な胸元で揺れて輝くのは、崑崙の地に産する至宝の玉。宗達でお馴染みの「崑崙八仙」という舞楽の曲もあります。
ようやく関東地方も梅雨明けとなりました。暑さが厳しくなる折、皆さま、どうぞご
自愛くださいませ。
遥か遠く、魅惑の地に舞台を移していただきました。
この句からすぐに思い浮かんだのは、ベリーダンスを踊る美しく妖艶な舞姫でした。
明日はどの地で至宝の玉は美しく揺れ動き、人々の心をつかんで離さないのでしょう
か。

15,今日も明日も美しい至宝の玉と共にジプシーは放浪の旅に出るのです。どこまでも続
く砂漠の道を力強く突き進んで行くのです。
それでは影左さま、十六句目をお続けくださいますよう、お願い申し上げます。

16,熱中症で行き倒れになる前に、暑い暑い宗匠さまの砂漠の句に秋の句で涼しさを呼びたいと思います。
 日中の砂漠は灼熱の炎天下。オアシスが恋しい世界。砂漠に行くまでもなく、日本の夏も温暖化で灼熱の真夏日が続きそうです。
 秋の夜の涼しさに焦がれて、露草をワイングラスにそっとのせます。考えてみれば、我が人生もジプシーのごとく放浪していたようなもの。そんな慌ただしい昼の時間を忘れるためにも、夜は、心のオアシスを求めてワインの杯に浮かべた露草の色を静かに愛でる時間でも過ごしたいですね。
宗匠さま、暑さから涼しさへといういことで、お目こぼし下さい。
うだるような暑さが続いておりますが、皆さま、お変わり無くお過ごしでいらっしゃ
いますでしょうか。十六句をいただきました。
誠に涼しさを呼ぶ、また、ロマン溢れる素敵な秋の句をお詠みくださいました。
影左さまの心のパレットには、どんな多彩な色の世界が隠されていらっしゃるのでしょうか。一度お許しをいただいて、覗いてみたくなる心境でございます。
私も真似をして、ワイングラスにそっと露草とやさしい時間をのせてみたいと思います。そこにはきっと、美しく穏やかなお月さまも映し出されることでしょう。
不易さま、大変お待たせして申し訳ございませんでした。
月の句をお詠みくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
涛青さま、涼しげな滝のお写真をお送りいただきましてありがとうございました。

17,こちらこそ遅くなりまして申し訳ありません。留守にしておりました。
月の句、お送りいたします。何卒よろしくお願い申し上げます。
連日の猛暑に、静かな静かな里の秋を詠むのに骨がおれました。
いくらかなりと涼しげな風情を感じていただければ幸いです。
濤青さま 影左さま絶賛の「瀧の絵」拝見いたしました。素敵です。蕉翁真蹟と云われる野村本『嵯峨日記』の中の曾良の句「くまの路や
分けつゝ入れば夏の海」が想い起こされました。今日はひとしほ、この「瀧の絵」で涼しく過ごせました。眼福感謝。

18,ちょと留守にしますので、宗匠さまの許可は出ていませんが、よろしかったらこれにて18句目ご容赦いただけると有り難いのですが。先走りで失礼いたします。
恋の呼び出しのつもりですが、窃盗団の打合せかも知れません。

19,二人連れには、木の実時雨の「ぽとぽと」落ちる音に打たれつつささやき合うのも乙なものですが、いつまでも忍び合っていると本物の雨。秋時雨に濡れては風邪引きのもと。宿に戻りましょう。濡れた履物は、さっと脱いで部屋に上がれば、いつやら雨も治まり、虫の合唱が始まっています。いろんな音色が聴こえくる中で、松虫にばかりが耳につくのは、ひとりでなく、二人して聞く小夜曲なればのこと。とは申しながら濡れ下駄も、松虫も部屋の外の出来事です。外は外の世界。部屋の中は秋の夜長の世界です。
音楽的に十九句の木の実時雨は、木琴がポンポンと鳴る打楽器。落ち葉や地面を蹴って宿の戻る下駄の音も打楽器風。部屋に上がって障子越しに聴こえてくる虫の音は、弦楽器。少し開いていた障子を閉じれば、弦楽器も外の音として音色をひそめてゆく。静かな二人の世界へと十八句から十九句へと音がだんだんフェードアウトして、静かな部屋の中の静かな時間へ溶け込んでゆく流れを多少、意識いたしました。

宗匠役緊急登板、ブルペンでのウォーミングアップ不足のため、差配に支障をきたし、ご迷惑をお掛け致しました。修正句頂きました。前句の情景を音の推移によって繋げつつ、想いを広げて頂けました。お手数をお掛け致しました。有難うございました。易
濤青さま
ドキドキの艶なる相伴pod、痛みいります。楽しませて頂きました。
今後もこの路線の益々のご発展を期待申し上げます。 易眼福

捌き役山穂様のよんどころない事情により、この巻は、廿句目でとりあへず、中断ということに相成りました。再開は未定ですが、いつかは巻了となる運びでございます。