国際VHF無線を使う

国際VHF機器がようやく使えるようになった。

総務省では、10月2日に改正法が公布された。

主な改正点は、
 
(1) 特定船舶局の無線設備として、国際VHF機器及びデジタル選択呼出装置等を追加すること。
(2) スポーツ及びレジャー用の船舶局に係る自動識別装置の装置義務を無くすこと。
(3) 任意に設置する国際VHF機器に係るデジタル選択呼出装置の技術的条件を定めること。
(4) スポーツ及びレジャー用限定の船間波をすべての船舶のためのものとすること。
(5) その他所要の規定を整備すること。

*総務省 船舶が任意に設置する安価な国際VHF機器の導入に伴う関係規定の整備
 
現在、メーカーが基準の機器の認可申請中で、今月末ぐらいから市場に出るようだ。(09.10.13)

◆使用できる機器
国内用機器は、認可を受けたものとなる。
外国で購入したものは、別途検査を申請しなければならないようだ。

◆使用開始の手続きは?
機器には、各地区の総合通信局ごとに使用申請書のようなものを提出しなければならない。
ネットからDLできて郵送での申請もできる
販売店が代行することが多いのではないか。当然手数料がかかるだろう。

◆運用には資格が必要 
無線従事者免許が必要
5W以下のハンディータイプは、3級。据え置き型25W以上には2級免許がいる。
つまらない講習に高い金と時間をとられるだろう。
現在、3級から2級にグレードアップするには講習時間の軽減が検討されている。
いずれ公布されるだろう。6時間ぐらいの講習に短縮される予定。

◆DSC付機器の使用は柔軟に
救難信号を、音声でなく、ボタン操作で発信できる設備だと理解しているが、
コレを使うには2級免許が対象となっている。命の軽重が免許によるのかな?
コレ付の機器でも、使用しなければ、3級でも持っていてよい、ということのようだ。
おそらく、外国では、ほとんどがこの機種なんじゃないか。
5Wには着けない機器もありそう。これはぜひもので着いた機器を購入したいね。
免許によって救難信号を出せるか出せないかが決まるのはおかしい。
免許で優劣をつけるから、ややこしいことになった、ということだろう。
いずれは免許の優劣は撤廃されるだろう、と思いたい。

国際VHF無線機を使用するにあたっての申請書類についてはこちらをご覧下さい。
 申請費用は、5W機器で、7,100円(収入印紙で納める)

だいたい、こんなところである。

とにかくも、イージス艦と漁船との事故の反省から緩和の方向に踏み出したわけだ。

しかし、肝心な、漁船と他の船との通信は、新たな機器の導入という漁民の自己負担
による不都合な状況が続く。

参考までに
既に発売されているメーカーのハンディタイプ5Wの無線機では、2万円台となっている。
同型と思われる機器の米国WestMarineの販売価格では、
税込価格\21,000→ $189.99 USD
税込価格\24,000→ $199.99 USD となっている。
べつに宣伝をするつもりはないが、リーズナブルな範囲だと見える・・・。
総務省の検討会での答申が北米の安価な機器をと、なっているからでしょう。

発売元の但し書き:「国際VHFは免許及び開局申請が必要です。開局申請料は別途必要となります。」

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イージス艦と漁船の事故で明らかになった、海上船舶同士の交信の途絶状態を改善するための検討が、08年に総務省で行われて来た。
既得権を死守する方向への流れで、一時はどうなるかと思っていたが、急転直下、天の声でもあったのか、役所としては異例な、一歩踏み出した案に落ち着くことになった。
部外からの熱心な解放運動があったことを忘れてはならない(感謝)。
最終答申案に対する意見募集とその公示を経て、最終報告書が提示された。
結果公示案件名 「海上における船舶のための共通通信システムの在り方及び普及促進に関する検討会」報告書(案)に対する意見募集の結果及び最終報告書の公表
結果の公示日 2009年1月28日
案件番号 145207440
意見公募時の案の公示日 2008年12月27日
意見・情報受付締切日 2009年1月15日
所管府省・部局名等(問合せ先) 総務省総合通信基盤局電波部衛星移動通信課海上係
(TEL:03-5253-5901)
結果公示案件詳細

概略 どうなるのか

安価な機器が使用できる

北米で使用されている安価な国際VHF機器を使用できるようにする。


*これは大変結構なことだ。北米で販売されている機器は日本製が多いらしい。
*北米から購入して即使えるようになるように読めるのだが、そのあたりはいまのところ微妙。
(図は総務省から拝借)
定期検査制度の見直し

検査が不要なものもできた。

マリンVHFの不人気の元凶だった検査制度が一部撤廃された。
遠くへ届くのは検査対象ということ。
*全部撤廃すればいいのだが。半歩前進。25Wは従来の煩雑な申請作業を強いるつもりなのだろうか。(図は総務省から拝借)

資格制度の見直し

×

海上特殊無線技術士という長ったらしい名称だが、

3級で5Wから25Wまで出来るようにする。

2級者を増やす。
DSCというのが使える2級になるには、経験年数か1日講習を受けてか、楽になる
というが。
(*恐らく有料講習になるのだろう。本当に普及させたいならこうした制度を簡素化することだね)
Degital Selective Calling=特定の無線局を呼び出し通話を自動設定できる装置。遭難時に簡単に警報を発する機能を備えている。一般的にはこれを組み込んだ無線装置となっている。

*免許制度を撤廃する気は無いようだ。申請だけでOKにすればもっと普及するだろうに。誠に残念。
*国民を、啓発しなければならないという思い上がりからなのだろうか? それとも?

評価 前にも述べたが、欲を言えばきりがない。まあまあのところに収まったというべきだろう。
マリンVHFの20万円もする機器を買えと、無茶苦茶なことを言っていたのだから大いなる前進といえる。

ただし、腑に落ちないのは、小型船舶の大半を占める漁船がそのままの状態に置かれていることだ。
漁業無線に加えてこちらも買えというつもりなのかな。
大型艦船は漁業無線周波数帯で交信できるように義務づけるつもりなのだろうか? 不明である。
きっかけとなった事故は、漁船との間の事故だっただけに、何とかならなかったものか。

展開 1)09夏前に省令改正の手続き
2)09秋頃に実施(というのか公示というのか)
というふうに進んで行くようだ。

今秋からは国際VHF無線機を晴れて使えるようになるかもしれない。

北米で使用中のものが即使えるとなると、どのくらいするものなのか? 
参考までにWest Marineのカタログを覗いてみると。
何と$100を切るものもあるようだ。