快進丸最悪回航日誌!

当方22フィ−トの小さなセ−ルボ−ト(メインセ−ル1枚のフリ−ダム22)を、富浦港に係留しておりましたが、この度銚子マリ−ナに引っ越す為に1999年3月21〜23日の日程予定にて回航することになりました。が、しかし、折からの低気圧銀座の洗礼を、もろに受けて艇はトラブルの連続!  以下はその記録ですが、もし参考になればと思いましてお送りいたします。
鈴木博士 へメール    
鈴木晶友(13才)

         ちなみに晶友(中1)は小2より稲毛にて(CYBC)OP級にてディンギ−活動を始め現在はTASAR,ホッパ−SR等でレ−ス活動しています。

目次

「富浦港出港」3月35日(木)
3月20日(土)晶友が学校から帰ってきたので、一緒に電車にて富浦に向かう。太平洋東海上に前線が停滞しており、この前線上に低気圧が次から次と発生し、東に向かうという最悪な気圧配置で、イヤ−な予感を感じながら電車に乗っておりました。富浦駅でカッパに着替えて、タクシ−で港に行ったところ港の岸壁は折りからの北東の強風で波に洗われておりました。何とか隣船のバイバイの乗降用のテンダ−(イカダ)を使用して船に乗り、ドシャブリの中を組合側の岸壁に移動し船の中で晶友と二人でカップヌ−ドルをすすって夜飯終わり! 4時天を取れなかったので、出掛けてくる前にネットで取った天気図と予想図と電話お天気情報とを照らし合わせて、明日の出航を決定!

3月21日(日)4時起き、5時30分出航 一路、中台が待つ和田港に向けて北風(8〜10m)の中をランニングで帆走中、突如ブ−ムがバ−ンという音と共に外れる!「え〜?」と、よく見るとグ−スネックごとマストから外れているではないか。イヤ−な予感ってこれのこと?と思いつつ、修理の為即館山マリンの山口氏宛て携帯電話をし、修理依頼の了承をもらう。8時ごろ館山港の岸壁に接岸、山口氏が飛んできて開口いちばん「今日は和田港は入れないかもしれない。まずければ野島崎の隣の白浜港(実は正式名は乙浜港だった)に入港したら?」と教えてくれた。(このアドバイスが役にたった)

「白浜港入港」
修理終了後、9時30分館山港を出航し、洲崎をかわし、野島崎をかわした辺りから風が一気に上がりはじめ(12〜18M セ−ルはすでに一番小さな2ポイントリ−フ)波がひどい。晶友が「ブ−ムが館山沖で外れて未だ良かったね。ここだったら助からないよ」なんて暗−い一言。(ムムム。確かに!) とても和田港までは行けないので、山口氏から聞いた白浜港を思い出して緊急入港。(でもこの港が探すのが大変だった。入港するにも磯波を見ながら一気に入っていく!といったコワ−イおまけ付きで入った瞬間ヤレヤレでした。  夕方、中台が倅と友人を引き連れて遊びに来ました。ビ−ルで軽く一杯やって1時間程で帰っていった。 天気図が気になっていたのだが実は唯一のラジオが故障で(中が腐っていた)使えないので、仕方なく再び電話お天気情報のお世話に。聞くとさらに新しい低気圧が発生して東海上に向けて進行中とか!明日はこの港で足止めデス。
3月22日(月)
晶友お風呂に入りたいな〜」「そうだよ、体中塩まみれだからあったかいお風呂がいいね〜」ってことで、本日はバスで20分程の野島崎灯台周辺と布良のハワイアン風呂に行きました。冷えきった体がウソの様に暖まり船に帰ってからも、元気になったのが自分でもよく分かる。風呂はいいね〜!

「座礁・太東港」
3月23日(火)「今日一日北風の強風だけれど耐えれるか?」「イエ−ス」の会話のあとに船は白浜港を出航。始めの1時間は最高のセ−リングでした。風速6〜8Mのリ−チングで艇速6ノット!「今日はいいぞ!」なんて話ながら二人はこれから待ち受けるコワ−イ港に向けてひたすら走りました。風が次第に上がってきて気が付くと2ポンのクロ−ズで平均3〜4ノット(GPS速度)で鴨川沖ではブロ−で20M以上を経験しながら、天津小港、勝浦、御宿、と岬をかわしながらついに大原の半年堂の岬をクリア。チビ丸お前速いじゃね−か−、と船を誉めつつ、彰子と長男が待つ「太東港」に向けて走りつづけました。(この港には以前からヨットが2艇係留されており、そのオ−ナ−からは水深、入港方法等を事前に聞いていたのだが)港口近くに家族が手を振って待っていてくれて、うれしい気持ちで入港!のはずがナント港口の中間付近でオンザサンド(!)「え〜!
干潮でも大丈夫のはずでは?」と思ってみても、もう遅い! 後から来た磯波で船は一気に横倒し状態!! 下側は20Mほどでサ−ファ−が波乗りをしている太東ポイント。
サ−ファ−がしきりにこっちを見ているのがよく分かる。「こりゃ、マズイ!晶友吹かせ吹かせ!」とエンジンを使って強行離礁を計るが、砂に埋まったウイングキ−ルは、なかなか離れてくれない。「こりゃ、かなりマズイ。自力脱出不可能かな? オ−イ彰子、漁船に曳航してもらいたいから、早く呼んできてくれ−」と、叫ぶ声を聞いて彰子が走ってどこかに行く。「晶友、波が来るから船から落ちないようにな!」と言って即、次の磯波が来て、再び船は横倒し状態! と、その時運良く、その波のおかげで浅瀬から脱出出来離礁。即エンジンを全開にして沖に向かう!(しかし、エンジンの状態がどうもおかしいと気が付くのはこの頃からなのですが)スピ−ドが出ないのでセ−ルを上げて機帆走で波を登る。ハ−ハ−ゼ−ゼ−二人で言いながら仕方なく大原港に向けて来た道を引き返す無念さというか命が助かった!船が助かった!ことへの有り難さで神に感謝しました。
太東港に電話したところ、ここ1週間の時化でナント港口が砂で埋まってしまい、船が出せない状態とのこと。嗚呼、こんなことなら事前に港に連絡をしておけば良かった!
舵誌のクル−ジング仲間の情報網だけを頼っていてはダメです。(教訓)

「大原港へ臨時入港」
機帆走で大原港に約1時間強で到着、ここでも家族が迎えに来てくれている(アリガトウミンナ)大原港は避難港なので港内は広く安心した。彰子が車で漁組に太東の一件と係留の許可取りに奔走してくれて、無事に今日の安心出来る係留場所を確保出来た。
彰子によると太東の件は既に太東側から大原港に連絡が来たとのこと「あそこは、しょっちゅう砂で埋まるから行かないほうが良い」とのことであった。じゃ〜あそこのヨットはいつも出れないの?
いやはや彰子サンにはご心配をお掛けしました。彼女曰く「目の前で主人と息子が乗った船が横転し、もう生きた心地がしなかった!猟船で曳航−って言ったらしいけれど私はロ−プ!って聞こえたので慌てて近くの漁師にロ−プ貸してください!って叫んで、小父さんも一緒に助けに来て!と叫んだんだけれど漁師曰く俺が行っても仕方なかっぺ?
考えてみればロ−プはヨットに有るよね? 人間動揺するとダメね? 今日は家に帰って休みなさい」で「ハイ そうします」   
大原港では漁組の人たちはミンナ非常に親切でした。内房とは違い田舎なのか分かりませんが、口では表せないくらい皆さん親切にして頂きました。どうも有難う。(乙浜港でもまわりの漁師さんから、そっちは風がやばいからこっちに持ってきな。モヤイ貸せだの、いろいろと親切にして頂きましたが、大原港はそれ以上でした。しかし、この親切は未だつづくのですが・・・・・・・)

3月24日(水)今日は晶友が終業式の為、私は晶友待ちデス。彼が帰ってきたら彰子サンの車で大原港に!  
さて、晶友がいないのでお話しますが正直申しまして、親の自分が言うのもおかしいのですが、彼は(私同様変人?だと思います)とにかく船が好きで仕方ないみたいです。走っているときもそうですが、停船しているときも、やれモヤイがおかしいだの、GPSの精度がどうだの、水深を計ってくるだの、とにかくジットしていません。「お前、そんなに船が好きか?」に「と〜ぜん」「お前の仲間でそんなのいるか?」の問いにも「いるわけが無い」 「じゃ、お前も俺同様変人だな?」に「そう、変人だね!  昴クンは中2で太平洋渡ったの?そうか俺も今年は中2か!」と言いつつ無線で「CQ.CQ]ヨット乗りとしては嬉しいのではありますが、果たして親子揃って、ムチャしててもよいものやら?昨日の座礁の一件から、考えるようになってきました。

「大原港へ出戻り」
3月25日(木)低気圧が速いか、オレたちが速いか?なんて馬鹿な会話で出掛けた結果が最悪に! 仕事の関係で何が何でも今日中に銚子マリ−ナに行くぞ!なんて焦りが事故を呼ぶ!とはじゅうじゅう承知していながら、馬鹿な私は本日6時15分出航しました。風はあまり無く(2〜3M)港口は見たところ、ウネリ無く機走と機帆走で一気に行こう!と焦ったことが間違いでした。普段なら問題視するであろうエンジンのペラのスリップに(座礁の時に少しおかしい?と思ったが問題ないだろう、で済ませてた)もう少し真剣に取り組んでおくべきでした。出航時にはスロ−で、(当然問題なく回っていた)それが沖に少し出るようになってウネリが大きくなってきていることに気が付き、晶友がエンジンをふかしはじめた時に、初めて回っていない事実 に気が付いたのです。
ヨット乗りとは因果なもので、普段はめったにフルでは機走しません。ウチも毎回機帆走がメインでエンジンのマックス走行なんて、やったことが有りませんでした。(ということはマックス走行は出来るものと信じつつ走っていたわけです。けれど前回の座礁時に「回転が上がっても走らない?」と気がついてはいたわけですから、確認すべきでした。)要するに我々は、風が無い、大きなウネリの残る最悪の海に出てしまった訳です。それもエンジンの回転は上がるがペラがスリップした状態で! 慌てて、ペラを確認したところ全開でも超デッドスロ−状態!何回トライしても結果は同じです。

さ〜て、困りました。このまま風が上がらなければ37マイル彼方の銚子までは絶対に行けません。それよりもこの辺特有の大きなウネリを推進力なしでかわせる自信が無い!(風は無風に近い)いろいろ考えた結果が大原港に引き返しエンジン修理後に出なおす!との結論でした。
が、港に近付いて驚きました。1時間程前に出てきた海上とは全く異なり大きなウネリが支配する入港の超危険な海に変貌していました。その中に非力なそれも半ば壊れたエンジンで(1ノット前後のスピ−ド?)無事に入港出来る自信は有りません。普段どんなに強風でも怖じけない晶友ですら(波の恐怖は経験済みですから?)今回ばかりは「お父さん漁船に曳航してもらおう!」と言い出しました。正解でした。親切なあの組合員の船が即出てきて曳航してくれて、何とか港に入りました。途中大波の背を滑り落ちる恐怖に襲われながら!  
いや〜 正直言いまして、もうやめます。こどもをこんな危険な目に会わせてしまった私は親として失格です。いくら変人同志のオヤコでも、今日はつくづく思い知りました! ヨットの耐侯性テストをしてるのじゃなくて、オヤコで楽しく(?)回航クル−ズのはずでした。それが、私の焦りと過信から自分の子供をこんな危険な目に遇わせてしまっていたということを思い知らされました。(強風波浪洪水雷注意報が出てた)船は大原漁業共同組合のご配慮で数日間係留は可能です。エンジンは近くの岬マリンさんに持ち込んで修理中です。(ペラの中身が腐ってしまっており全交換。しかし、それ以外は全くのシッカリモノでした。よかった!よかった!)これも明日には部品が来るとのことですが、今度はもう無理しません。
残り37マイル(全行程93マイル)を今度はホントに楽しくクル−ジング出来るよう日程は調節するつもりです、ってことで、今回お世話になりました、館山マリンの山口氏、心配で電話くれた増川、中台、タカ坊、オジ−チャン、オバ−チャン、吉田先生、それに乙浜の漁師さん、大原港のミナサン、良栄丸の船長さん、銚子マリ−ナの高崎氏、岬マリンの社長、みなさんそして、彰子サンに雄也クン本当に有難う御座います。    
最後のレグは子供と楽しく安全に航海してまいりますことをお約束いたします。
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今まで大変だった分、我々を歓迎してくれているのかな?って気がホントに致しましたデス! この一件がありフィナ−レは、もう最高の気分で銚子入りできました。ヤレヤレ!
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恐怖の磯波ー外房で安心して入れる港は?」
ただ、今回の回航で肝に命じた点が、入港可能? な港が果たしてどのくらいあるのか?(外房で)ということです。  
回航途中で「白浜港」に避難して「磯波の恐怖を味わいながら入港」するシ−ンが有ったかと思いますが、入港後地元漁師からきいた話ですが、外房の港は悪い条件が重なると、かなり危険な磯波が立つことがよく有る。この場合の磯波のスピ−ドは平均約15〜6ノット!非力なヨットのエンジンでは、とても入港は不可能である!とのことでした。実際、彼らが造る漁船のスピ−ドは、磯波のスピ−ドを考えて最低でも17〜8ノットはキ−プしているとか。
大原港でも、エンジントラブルで漁船に曳航されて入港する、場面が有ったかと思いますが(とてもセ−リングでは入港出来ない磯波状態でした。)この場合も曳航する漁船の方もかなり危険な状態で、とても10ノット程度のスピ−ド(曳航していたので、かなり遅いスピ−ド)では、あの磯波(岸に近付くと波のパワ−が上がりスピ−ドが一気に増す)に対処できない!と思いました。  
貴HP中に「大原港の入港ル−ト」の資料が有りましたが、オオウネリ〜磯波が出来る様な状態での入港は、果たしていかなるものか?
(当然その時の海の状態にもよりますが)
以前、波浮港の港口のテトラ上に鎮座しているヤマハ30を見たことが有りましたが、外房の港も例外では無いようです。
このように考えますと、個人差は有るでしょうが館山〜銚子間で荒天時の入港できる港としては勝浦港ぐらいしか無いのか!嗚呼!と感じております。
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「銚子マリーナ」
開業早々の銚子マリ−ナの近況ですが、少しお時間をください。マリ−ナ側からの情報も含めて資料を収集後、お送りしたく思います。
ただ、銚子マリ−ナも独自のHPを持っておりますが、その中に入港方法等の情報もあります。 が、なにせ開港前のふるい(お客集めよう?)情報故(写真等が全く無い・・・当 たり前か!)参考になるか否か?
--------------- 資料収集後、再度ご連絡致します。--------------

快進丸 鈴木博士canoe@mtg.biglobe.ne.jp