『東京湾の気象特性』

稲毛ヨットハーバーで行なわれた海洋講座のレポート

< 春 >
・2〜4月、日本海低気圧が発達しながら北東進し、突風を ともなった強い南風(春一番)が吹き荒れる。

 強風のピークは、低気圧が北海道付近に達する時で、最大瞬間風速が25〜30m/s 吹くことも珍しくない。

 また、強い南風が吹いたあとは、寒冷前線が通過し、強い北風が持続するのが、普通である。

・台湾付近で発生した低気圧が、急速に発達しながら北東進し 関東地方南部に、強風と大雪をもたらすことがある。 低気圧の発生から、関東南岸に達するまでの時間が短いので 注意!(丸1日くらいで、やってくる)

・5月には、メイ・ストームといわれる南西風が2〜3日続く ことがある。この時の風速は10〜15m/s のことが多く 20m/s 以上になることは少ない。

・移動性高気圧におおわれると、北東の風が吹くが、 昼間気温があがると、東京湾から陸に向かって風が吹き出す。

 稲毛では、南西の風。夢の島から横浜は、南東の風となる。

<梅雨>
・梅雨前線が北上し、梅雨明けの時に南寄りの風がやや強まる 程度で、比較的風は弱い。

・ただし、霧や雨で長時間見通しの悪い状態が続くことがある。

< 夏 >
・日本海に低気圧がなくても、気温が上がると、海風が強くなる。

・発達した雷雲の通過で、突風の吹くことがある。

 竜巻きが発生して、最大瞬間風速が50m/sくらい吹いた 記録もある。

・この時期に本土に接近、または、上陸する台風は、小型〜中型 のものが多いが、進路によっては大荒れとなる。    夏台風は、迷走することが多く、いったん遠ざかっても、 再び戻ってくることがあるので、注意。  通り過ぎても、安心できない。

・雷と台風を除くと、1年中で、もっとも穏やかな季節といえる。

< 秋 >
・大型台風がやってくる季節。離れた所にあっても、その影響は 大きい。    
台風が日本海を通過する時は、暴風と共に、高波にも十分な 注意が必要。

・晩秋(11月)には、北西の季節風が吹き出すこともあるが、15m/s 以上となることは少ない。

< 冬 >
・北西の季節風は、上空の寒気の流入にともなって、強く吹く ことが多いが、12〜24時間(半日か1日)以内に  おさまることが多い。

・南高北低型の時は、大島近海の強い西寄りの風が、 南西風となり、東京湾北部にまで北上する。  この場合、20m/s 前後の強風が1日以上続くことがあり 時には、3日間くらい続くこともある。

・地上付近で寒冷前線が明瞭でない時でも、上空の気圧の谷の 通過の際には短時間だが、15m/s くらいの北風が吹くことが あるので注意する。

【 東京湾の波 】
      春・・・南風、北風ともに波が高くなる。    
      夏・・・午後は風が強くなり、波も高くなる。
      秋・・・一般に、波少ない。台風による大波に注意。
      冬・・・東京側は北西〜北風の時、波は小さいが、千葉側は西寄りの風が続くと、波が発達する。第2海堡付近は、季節風が止んだ時以外は高めの波が持続する。

【 波高と天気予報の用語 】

   穏やか ・・・0〜0.1m
   シケ模様・・・2.5〜4m
   しける ・・・4〜6m
   大シケ ・・・6〜9m
   猛烈にしける・・・9m 以上

《まとめ》

天気予報と実際の天気の違いは、何故だったのか? 何故予想通りにならなかったのか、考える習慣をつけることが大切。

一般に、気圧配置による風が吹くが、季節風が弱まると地形の影響 が大きくなる。 関東では、場所により、風と風がぶつかって、天気図の季節風とは ちがう風になる。(これをシアーラインという) 

日本は中緯度帯にあり、四季の特徴が明瞭に表われる。 季節による傾向と、地域的な特性を把握することが重要。

比護 記