消息不明ヨット大捜索


----「 2003年7月 第四管区海上保安庁の記事より転載」
日本一周のため7月11日に蒲郡のマリーナを出港したヨットが和歌山県田辺沖から、『これから高知の室戸岬へ向かう。』との携帯電話による連絡があったのを最後に連絡が取れない。」と同マリーナから通報がありました。
最終連絡から2日間が経過していました。

乗組んでいたのは、68歳の男性1名で、昨年4月に小型一級を取得し、10月にヨットを購入、半年ほどの練習経験しかないのに、無寄港で、半年かけて日本一周するという無謀とも言える航海計画。
当初経験を積んだ1年後の出発予定が、年齢を理由に所属マリーナの再三にわたる引き留めも聞き入れず、強引に出港したとのこと。

情報を得た、海上保安庁では、21日〜23日までの間に、のべ巡視船艇15隻、航空機10機(海上自衛隊機3機を含む。)による大捜索を実施。

その結果、23日午後、海上自衛隊P3Cが予想とはほど遠い和歌山県潮岬南約98キロメートルで、帆走中の同ヨットを発見し、巡視艇が会合して無事を確認しましたが、同人には予定コースを大きく外れていたとの自覚なし。 ヨット発見位置略図
その後、ヨットは巡視船艇に伴走され、串本(潮岬)に向かいましたが、黒潮に流され、結局25日午前、尾鷲にようやく入港しました。

同船の連絡手段は、国際VHF(出力5W)と携帯電話。航海計器は、船位測定装置としてカーナビだけ。しかし、発見された海域では、携帯、カーナビとも使用不可で、自船の位置を確認できないまま勘のみに頼る航行を続けていました。
恐らくこのまま航行を続けていたならば、台風に遭遇するなどして、確実に遭難していたと思われます。

日本一周を計画するのであれば、それなりの航海術、海事知識が必要であるという代表的な事例と言えるでしょう。


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